雇用形態について

Alibaba.comを使って海外と取引するにあたり、製品情報の掲載や商談などで英語を使う機会が多々あるかと思います。人手不足が深刻化しているなかで、英語が使える人材を雇用するのは困難な状況です。そこで最近労働力として注目されてきているのが「外国人留学生」です。

日本学生支援機構の調査によると、平成27年5月現在で、留学生の数が20万人と年々増加傾向にあります。留学生の中には自国の言語以外に英語もできる学生も多くいます。注力したい地域の留学生を採用すれば、英語だけではなく、文化や商習慣の面でもパイプ役として活躍してくれるでしょう。

外国人留学生を活用するにあたって

初めて外国人を雇用する場合、どのような雇用形態で採用できるのか、最低賃金はいくらなのか、就労時間など様々な疑問があるかと思います。雇用形態については、基本的には日本人を雇用する場合と変わりませんが、いくつか注意すべきポイントがあります。

  • アルバイト:企業は原則として外国人留学生をアルバイトとして採用することはできませんが、留学生本人が法務大臣から資格外活動許可を受けている場合は、採用することが可能です。

  • インターン:就労前の一定期間に実践・体験目的として働くことができます。労働性が伴うインターンに関しては、アルバイトと同様の雇用となります。大学によってはカリキュラムとして単位認定する場合もあります。

  • 派遣社員:派遣会社との労働派遣契約に基づき派遣される留学生で、留学生が働く条件や手続きは、基本的に派遣会社が行います。

アルバイト・インターンと一般派遣のメリット・デメリット

留学生の雇用には様々なメリットやデメリットがあります。たとえばメリットとして、日本語の能力以上に英語も堪能で高レベルだったり、留学生が持つ海外のネットワークや人脈が活用できたり、自社の新卒採用では採用が難しい高学歴の学生が採用できたりなどが考えられます。逆にデメリットとして、日本語でのコミュニケーションの問題や、文化・習慣の違いによる認識の相違や、受け入れの手間など日本人を採用するときと異なる配慮が必要となることもあります。
雇用形態によっても日本人を採用する場合とは異なるため、以下の表を参考にして、自社にあった採用を行うことをお薦めします。

  アルバイト・インターン 一般派遣
契約 直接雇用 派遣元との契約
契約期間 有期契約 派遣元との調整
給与・支払 派遣より低い アルバイトより高い
勤務日・時間 学業に左右される 契約通りの勤務
社会保険 基本的に必要なし 派遣会社が対応

雇用形態別注意点~共通~

留学生を雇用する場合の注意点をまとめました。
雇用形態によって注意事項が違いますので、下記の雇用形態別注意点もあわせてご確認ください。

労働時間は週28時間、長期の休みは1日8時間まで

留学生が他の会社でも勤務をしている場合、すべての勤務時間を合わせで週28時間超えることはできません。ただし夏休みなどの長期の休みの場合は、1日8時間の就労が可能となります。

自社で雇用した留学生が週28時間を超えて働いていた場合、本人の在留資格の更新が行えなくなり、雇用側にも処罰が科せられますので注意が必要です。

支払う給与の金額は?

派遣契約の更新・終了外国人留学生を雇用する際の給与は、日本人を雇用する場合と変わりません。留学生をアルバイト(一般派遣)として雇用する場合であっても、最低賃金法は適用されます。最低賃金法は、「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金以上の賃金を支払わなければならない」と定められています。
最低賃金は、地域または業種によって異なりますので、厚生労働省の特定最低賃金の全国一覧をご確認ください。

雇用期間は?

雇用期間は、日本人の雇用と同様に契約書で定めます。契約期間を延長または終了する場合は、雇用主と雇用者間の同意をもって手続きをしてください。

留学生の本分は学業であり、優先されるべきものは学業です。忙しい時期でもテストなどがある場合は、就労時間やスケジュール変更などを行い、学業に支障をきたさないよう配慮することも大切です。

雇用形態別注意点~アルバイト・インターン~

留学生をアルバイトやインターンで採用する場合の注意点をまとめました。
実際の採用にあたっては、入国管理局、厚生労働省などの情報を確認してから雇用するようにしてください。

確認すべき書類は?

留学生アルバイトを雇用する際には必ず確認すべき書類があります。確認を怠ると知らず知らずのうちに不法な就労に加担することになり、採用した企業側にも重い処罰が科せられます。採用前には必ず書類を確認するようにしてください。

アルバイトとして雇用する場合、留学生も労働基準法や最低賃金など日本人と同じ法律が適用されます。そのため雇用契約書は、日本人採用と同様に締結する必要があります。書類に関して日本人の採用と異なる点として、「資格外活動許可」の確認があげられます。

資格外活動許可を確認

まずは在留カードを確認します。在留期間が満了してないことを確認し、「資格外活動許可欄」に「許可:原則28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載があるか確認してください。また、パスポートにも「資格外活動許可」シールが貼ってありますので、コピーを取っておくことをお勧めします。資格外活動許可には期限がありますので、期限切れでないことも確認してください。
詳しくは入国管理局のホームページをご確認ください。

・在留カード/資格外活動許可証 見本

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資格外活動の許可を取得していない場合は?

留学生が資格外活動許可を得ていない状態で労働契約を結ぶと違法になります。採用しようとした学生が許可を受けていない場合は、留学生に入国管理局の許可を取るよう指導しましょう。資格外活動許可が下りるまでは雇用契約を結ぶことはできません。
資格外活動許可の申請方法については、法務省のホームページをご確認ください。

ハローワークに届出を!

「外国人雇用状況の届出」は、すべての事業主の義務であり、外国人の雇入れの場合だけでなく、離職の際にも必要となります。届出を怠ると罰金が科せられますので、十分に注意してください。
「外国人雇用状況の届出」方法に関しては厚生労働省のページで確認することができます。

ハローワークへの届出は、雇用保険に加入するか否かで提出用紙が異なります。基本的に留学生は学業が本業であるため、「雇用保険に加入しない」用紙を提出することが一般的です。

福利厚生について

福利厚生は基本的には外国人も日本人も同じですが、外国人留学生の場合は労働時間が限られているため、健康保険や雇用保険など当てはまらないものが多いのが現状です。

  • 労災保険、健康保険、厚生年金保険:留学生は就労可能時間が制限されているため、社会保険に加入させる必要はありません

  • 雇用保険:留学生は学業が本業となるため、雇用保険に加入することはできません

  • 有給休暇:雇い入れ日から6か月経過していて、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合支給します

雇用形態別注意点~一般派遣~

留学生を一般派遣で雇用する場合の注意点をまとめました。
実際の雇用にあたっては、派遣会社などの情報を確認してから雇用するようにしてください。

確認すべき事柄は?

留学生をアルバイト・インターンシップとして直接雇用する場合には、採用企業に留学生の日本での就労資格に関して確認する責任がありますが、一般派遣として雇用する場合には、派遣会社に責任があります。しかし、だからといって派遣先が就労者の就労資格に関して無頓着でいてよいということはありません。
外国人が日本で就労する場合で、特に留学生のように「留学」の在留資格をもって在留している方の場合は、「資格外活動許可」を受けていない限り就労できませんのでご注意ください。

派遣先が派遣社員の個人情報を確認することはNG

個人情報保護の観点から、派遣先は派遣スタッフの在留カードを確認することはできません。労働者派遣事業制度の性質上、派遣会社が派遣先に提供することができる派遣社員の個人情報は、派遣法第35条第1項の規定により派遣先に通知すべき事項のほか、派遣社員の業務遂行能力に関する情報に限られています。ただし、他の保管又は使用の目的を示して本人の同意を得た場合、または他の法律に定めのある場合は、この限りではありません。

不法就労助長罪が適用されるケース

就労している外国人が不法就労していた場合、不法就労助長罪が適用されるのは原則として派遣社員を直接雇用する派遣会社です。しかしながら、派遣社員が不法就労であることが発覚した場合で、派遣先事業者がその事実を知っていたにもかかわらず、その外国人を働かせていたという場合には、派遣先事業者は不法就労助長罪に問われる可能性があります。これはその外国人を直接雇用していたか否かは関係ないので、特に注意が必要です。(入管法第70条、第73条の2)

信頼できる派遣会社と取引をする

外国人の派遣社員を受け入れる場合は、その派遣会社が信頼できる会社かどうかということを確認することが重要です。そのため、派遣会社を選定する際は、派遣料金だけではなく下記のポイントも併せて確認しましょう。
・在留資格・在留期限のチェックをどのようにしているか
・コンプライアンス意識の高さ

トラブル防止のための留意点

契約書に記載していない業務はできない

人材派遣は業務内容を定めて契約するものです。契約書に記載した業務内容と、就業後の業務実態が異なることは法令違反につながり、重大なトラブルの要因になります。契約書記載内容と業務内容に相違が生じないよう、派遣会社へ依頼するときは派遣労働者が行う業務について正しくお伝え下さい。

ミスマッチ抑制・安定就業促進のために~スキルレベル~

求めるスキルや経験について、その「優先順位」や、「業務上使用する必須条件」と「あれば尚可」を整理すると派遣会社側でより的確な人選を行うことができます。業務上必要のない高いスキルを求めた場合、派遣労働者は業務上でスキルを活かせず、定着率が低下する傾向にあります。

ミスマッチ抑制・安定就業促進のために~業務量・残業~

時間給で働く派遣労働者にとって、業務量が少なく手が空く時間が多いのは、職場に居づらく感じる傾向があります。就労時間に対して妥当な業務量をご用意ください。派遣労働者の中には家庭事情等により残業時間に制限がある者もいます。契約時に伝えた残業時間と大きく異なる場合は、対応できないことがあります。

派遣契約の更新・終了

派遣契約は期間を定めて行うものであるため、契約期間の更新・終了について、派遣先・派遣元間での確認が必要です。契約期間を更新する場合には、期間を定めて派遣契約を新たに締結します。派遣労働者を雇用関係のない派遣先が、派遣労働者に対して雇用契約に関わる確認・通知を行うことはできません。また、派遣契約期間の途中解除は原則出来ず、やむをえない事情が生じた場合は、派遣元・派遣先間での協議によって判断します。

最後に

外国人労働者がいない会社にいきなり留学生を採用するのは不安なものです。法律的な手続き以外にも文化・風習の違いやコミュニケーションなど最初は戸惑うかもしれません。しかし日本に来ている留学生の多くは、日本の文化だけでなく技術やサービスに興味があり、日本企業で経験を積んでいきたいと真剣に考えている学生です。雇用手続きなどは日本人を雇用するよりは多少煩雑ですが、語学力だけでなく留学生の持つ意欲や積極性が与える社内への好影響、また海外進出へのモチベーションアップなど、採用のメリットは多くあります。留学生を会社の新たな戦力として取り入れてみてはいかがでしょうか。

本マニュアルでは、Alibaba.comをご利用いただくにあたり製品情報ページの作成や世界のバイヤーとの商談を担当する英語人材の採用について記載しています。
情報の正確性には細心の注意を払っておりますが、実際の採用にあたってはご自身でしかるべき法律等をご確認ください。