貿易ルール~インコタームズ(1)

他国の商品を仕入れることになったとき、仕入先から出てきた金額が送料込なのか、保険料は含まれているかなど、確認すべきことがたくさんあります。その際に世界共通のルールで確認できたら便利ですよね。そこで必要となるのが、「インコタームズ(International commercial terms の略)」という貿易ルールです。

インコタームズとは、国際商業会議所(International Chamber of Commerce = ICC)が制定した貿易取引条件とその解釈に関する国際規則です。この規則ができるまで、各国で異なる法制度や商習慣を持つ異国間取引において、貿易取引条件の解釈が異なることによるトラブルが発生しがちでした。これらのトラブルを解消するため、1936年にICCによって初めての国際規則が取り決められたのです。

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インコタームズは、その後商習慣の変化により、1953年、1967年、1976年、1980年、1990年、2000年と改定・追加され、10年ぶりの2011年1月1日に改訂された2010年版では、輸送方法の変化や無関税の自由貿易国の拡大など実態に合わせた変更がなされました。

インコタームズで定められているもの

インコタームズは、FOB、CPTなどの3つのアルファベットで表されます。この記号によって、以下のように売主と買主の「取引条件」が定められています。

  • リスク(危険)分担: 貨物に対するリスクを売主または買主のどちらが負担するか

  • 手続きの義務と費用負担:通関、運送契約、保険契約、その他諸経費用の負担は、売主または買主のどちらが負担するか

インコタームズに規定されている規則は、大きく4つのグループに分けることができます。

グループ 規則の種類 内容
Eグループ EXW 売主が自身の施設内で商品を引き渡す
引き渡し後のリスクと費用は買主が負担
Fグループ FCA/FAX/FOB 費用・リスクの負担は、輸出地の港(空港)で売主から買主に移転
Cグループ CFR/CIF/CPT/CIP 費用の負担は、売主から買主に輸入地で移転
ただし、リスクの負担は、売主から買主に輸出地で移転
Dグループ DAT/DAP/DDP 売主が買主の元まで費用とリスクを負担

インコタームズの活用

インコタームズは、法律や条約により定められたものではありませんので、使用するか否かは当事者同士の自由です。ただし、長期にわたって貿易取引の慣習を定型化し、解釈を明確化させたものなので、貿易トラブルを回避させる重要なルールとなっています。

貿易の契約において、売主と買主の条件合意のためにもインコタームズに基づく場合、契約書上に明記する必要があります。

輸出契約書の例

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インコタームズは、所有権の移転について規定しておらず、適用されるそれぞれの国の国内法によるとされています。また、支払方法や契約違反についても規定していません。これらは、売買契約の条項や契約を規律する法律で取り扱われますので、インコタームズのみでは完全な売買契約にはならない点に注意しましょう。

貿易を行うにあたって、インコタームズがいかに重要かおわかりいただけたでしょうか。これらの条件を事前に合意させて、安心・安全な貿易を行ってください。

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具体的なインコタームズ2010の規則に関しては、以下のページをご覧ください。