貿易ルール~インコタームズ(2)

2010年版のインコタームズでは、貿易の条件を大きく2分類11規則に分けています。

 
  1. いかなる単数または複数の輸送手段にも適した規則(EXW、FCA、CPT、CIP、DAT、DAP、DDP)
    7つの規則によって構成されており、コンテナ輸送、海上輸送、航空輸送、陸上輸送と複数の輸送手段を組み合わせた複合一貫輸送など、輸送手段に関わりなく使用することができます。

  2. 海上および内陸水路輸送のための規則(FAS、FOB、CFR、CIP)
    4つの規則によって構成されており、海上と河川などの内陸水路を航行する船舶輸送にのみ適しています。

売主の危険負担と費用負担

incoterms_01.png

いかなる単数または複数の輸送手段にも適した規則(1)

【EXW】Ex Works(工場渡し)

「工場渡し」は、売主の施設または工場、製造所、倉庫などの指定場所において、条件通り物品を引き渡した時点で費用負担も危険負担も売主から買主に移転します。売主は物品の受け取りのための車両に物品を積み込む必要がありません。また、物品をを買主のために通関する必要もありません。

 
  • 商品引渡し: 売主の工場・倉庫で物品を引き渡す手続きを行う

  • 危険負担: 売主の施設または指定場所での物品の引き渡し後のリスクは、すべて買主側が負担

  • 費用負担: 売主の施設または指定場所での物品の引き渡し後の費用は、すべて買主側が負担

incoterms_01_EXW.png

売主はが物品を積み込む場合は、売主は買主の危険と費用において積込むことが重要です。売主が物品を積み込む方がより良い場合は、売主が自己の危険と費用においてそうする義務を負うFCAの方が適しています。

【FCA】Free Carrier(運送人渡し)

「運送人渡し」は、売主が売主の施設または工場、製造所、倉庫などの指定場所において買主の指定した運送人に物品を引き渡した時点で、費用負担と危険負担が売主から買主に移転します。

 
  • 商品引渡し: 売主の指定した運送人に物品を引き渡すまでの手続きを行う

  • 危険負担: 売主の指定した運送人に物品を引き渡す時点までのリスクを売主側が負担

  • 費用負担: 売主の指定した運送人に物品を引き渡す時点までの費用を売主側が負担(通関費用を含む)

incoterms_01_FCA.png

売主が輸出のために物品を通関する必要がありますが、輸入のために物品を通関し輸入税および輸入通関手続きを行う義務はありません。FCAは航空輸送と海上コンテナ輸送の場合に使用されます。

【CPT】Carriage Paid To(輸送費込)

「輸送費込」は、売主の指定した運送人が物品を合意された場所で引き渡し、指定仕向地へ物品を運ぶために必要な運送契約を締結し、その費用を支払う必要があります。

 
  • 商品引渡し: 売主の指定した運送人に物品を引き渡すまでの手続きを行う

  • 危険負担: 売主の指定した運送人に物品を引き渡す時点までのリスクを売主側が負担

  • 費用負担: 輸入地までの輸送費を含み物品を引き渡すまでの費用を売主側が負担

incoterms_01_CPT.png

危険の移転と費用負担者の変更が異なる場所で起こるため、二つの分岐点が発生します。そのため、危険が買主に移転する引渡地と売主がそまでの運送契約を締結しなければならない指定仕向地の双方を契約においてできる鍵あり明確に特定することが賢明です。また、この選択に正確に一致する運送契約を取得することが重要です。CPTは、航空輸送と海上コンテナ輸送の場合に使います。

【CIP】Carriage and Insurance Paid To(輸送費保険料込み)

「運送費保険料込み」は、売主に指名された運送人が合意した場所で物品を引き渡し、指定仕向地へ物品を運ぶために必要な運送契約を締結し、その費用を支払わなければなりません。また、運送中における物品の減失および損傷についての保険契約を締結する必要があります。

 
  • 商品引渡し: 売主の指定した運送人に物品を引き渡すまでの手続きを行う

  • 危険負担: 売主の指定した運送人に物品を引き渡す時点までのリスクを売主側が負担

  • 費用負担: 輸入地までの輸送費を含む費用に加え、保険の手続きとその費用を売主側が負担

incoterms_01_CIP.png

保険契約に関して注意しなければならないのは、売主は最低限の保証だけを締結すれば良く、それ以上の保障を望む場合は、売主と明示的に補償の程度を合意するか、また自ら追加の保険を手配する必要があります。CIPは、航空輸送と海上コンテナ輸送の場合に使います。

海上および内陸水路輸送のための規則

【FAS】Free Alongside Ship(船側渡し)

「船側渡し」は、物品が指定船積港において買主によって指定された本船の船側(せんそく)に置かれたとき、売主が物品を引き渡します。物品の減失または損傷の危険は、物品が本船の船側に置かれたときに移転し、買主はその時点から一切の費用を負担します。

 
  • 商品引渡し: 買主が指定した船積港で、物品が埠頭や艀(はしけ)に積み込まれ本船に船側に置かれるまでの手続きを行う

  • 危険負担: 買主が指定した船積港で本船の船側に物品が置かれるまでのリスクを売主側が負担

  • 費用負担: 買主が指定した船積港で本船の船側に物品が置かれるまでの費用を売主側が負担

incoterms_01_FAS.png

FASは一般的な条件でなく、木材などの特別な物品の場合に適用され、在来船による運送時に使用します。

【FOB】Free on Board(本船渡し)

「本船渡し」は、売主が指定船積港において買主によって指定された本船上で物品を引き渡します。物品の減失または損傷の危険は、物品が本船側に置かれた時に移転し、買主はその時点から一切の費用を負担します。また、商取引における輸送中の転売で物品を引き渡されたときに、危険負担および費用負担は売主から買主に移転します。

 
  • 商品引渡し: 売主が指定した船積港において買主によって指定された本船上で物品を引き渡すまでの手続きを行う

  • 危険負担: 売主が指定した船積港において買主によって指定された本船上で物品を引き渡す時点までのリスクを売主側が負担

  • 費用負担: 売主が指定した船積港において買主によって指定された本船上で物品を引き渡す時点までの費用を売主側が負担

incoterms_01_FOB.png

貿易取引では多く使われる規則で、輸出通関は売主、運賃は買主負担となります。FOBは、在来船による運送時に使用します。

【CFR】Cost and Freight(運賃込)

「運賃込」は、売主が本船の船上で物品を引き渡します。物品の減失または損傷の危険は、物品が本船上の船上に置かれたときに移転する。売主は、指定仕向港への物品を運ぶ費用と運賃について契約を締結し、支払を行う必要があります。

 
  • 商品引渡し: 買主が指定した船積港で、本船上の船上に置かれるまでの手続きを行う

  • 危険負担: 買主が指定した船積港で、物品を引き渡す時点までのリスクを売主側が負担

  • 費用負担: 輸入地までの輸送費を含み物品を引き渡すまでの費用を売主側が負担

incoterms_01_CFR.png

CFRは在来船のみに使用され、コンテナ船や航空機の場合はCPTを使います。売主は、輸入地に到着するまでの運賃のみを負担しますが、海上保険料は負担しません。

【CIF】Cost, Insurance and Freight(運賃・保険料込)

「運賃保険料込」は、売主が本船上の船上で物品を渡します。物品の減失または損傷の危険は、物品が本船上の洗浄に置かれたときに移転します。売主は指定仕向港へ物品を運ぶために必要な契約を締結し、その費用と運賃を支払わなければなりません。売主は、運送中における物品の減失または損傷についての買主の危険に対する保険契約を締結する必要があります。

  • 商品引渡し: 輸入者が指定した船積港で、本船上の船上に置かれるまでの手続きを行う

  • 危険負担: 商品を引き渡す時点までのリスクを輸出者側が負担

  • 費用負担: 輸入地までの運賃と保険料を含み商品を引き渡すまでの費用を輸出者が負担

incoterms_01_CIF.png

保険契約に関して注意しなければならないのは、売主は最低限の保証だけを締結すれば良く、それ以上の保障を望む場合は、売主と明示的に補償の程度を合意するか、また自ら追加の保険を手配する必要があります。
FOBと並んで貿易取引に多く使われる規則です。また、在来船のみに使用され、コンテナ船や航空機の場合は、CIPが使用されます。

いかなる単数または複数の輸送手段にも適した規則(2)

【DAT】Delivered At Tarminal(ターミナル持込渡し)

「ターミナル持込渡し」は、指定仕向港または仕向地における指定ターミナルで、物品が到達した輸送手段から荷卸しされたあと、ターミナル内で買主に引き渡した時点で、危険負担および費用負担が買主から売主に移転します。ターミナルには、屋根があるか否かを問わず、コンテナヤードや航空貨物ターミナルのほか、倉庫、埠頭、通路が含まれます。また、指定仕向地ターミナルまでの輸送費および荷卸し作業は売主が負担し、輸入通関や輸入税の納付は買主の負担となります。

 
  • 商品引渡し: 指定仕向地または仕向地のターミナルで、物品が到着した輸送手段から荷卸しされたあと、ターミナル内で買主に引き渡すまでの手続きを行う

  • 危険負担: 指定仕向地または仕向地のターミナルで、物品が到着した輸送手段から荷卸しされたあと、ターミナル内で買主に引き渡すまでのリスクを売主側が負担

  • 費用負担: 指定仕向地または仕向地のターミナルで、物品が到着した輸送手段から荷卸しされたあと、ターミナル内で買主に引き渡すまでの費用を売主側が負担

incoterms_01_DAT.png

売主は、引渡し時点までの危険が売主のリスクとなるため、合意された仕向港または仕向地におけるターミナル(可能であればターミナル内の特定の地点)をできる限り明確に特定することが賢明です。また、この選択に正確に一致する運送契約を取得することが重要です。

【DAP】Delivered At Place(仕向地持込渡し)

「仕向地持込渡し」は、指定仕向地において荷卸しの準備ができている状態のまま、指定地に到着した輸送手段上で、物品が引き渡されたとき、物品の危険負担と費用負担が売主から買主に移転します。売主は指定地まで物品を運ぶことにともなる一切の危険を負担し、荷卸し作業および輸入通関や輸入税の納付は買主負担となります。

 
  • 商品引渡し: 指定仕向地で、荷卸しの準備ができた状態のまま貨物が引き渡されるまでの手続きを行う

  • 危険負担: 商品を引き渡す時点までのリスクを輸出者側が負担

  • 費用負担: 商品を引き渡す時点までの費用を輸出者側が負担

incoterms_01_DAP.png

売主は、引渡し時点までの危険が売主のリスクとなるため、合意された仕向港または仕向地内の地点をできる限り明確に特定することが賢明です。また、この選択に正確に一致する運送契約を取得することが重要です。

【DDP】Delivered Duty Paid(関税込持込渡し)

「関税込持込渡し」は、売主が指定仕向国で、輸入通関と輸入税の納付を済ませ、コンテナ・ターミナル、倉庫、工場、事務所などの指定場所まで荷物を持込み、到着した輸送手段の上で物品を買主に引き渡します。売主はその指定場所までの輸送に伴う費用と危険を負担します。荷卸し作業は買主が行います。

 
  • 商品引渡し: 輸出者が指定仕向地国における輸入通関と輸入税の納付を済ませ、輸入地の指定場所まで荷物を持込み、到着したその輸送手段の受けで貨物を輸入者に引き渡すまでの手続きを行う

  • 危険負担: 商品を引き渡す時点までのリスクを輸出者側が負担

  • 費用負担: 商品を引き渡す時点までの費用を輸出者側が負担

incoterms_01_DDP.png

売主は、引渡し時点までの危険が売主のリスクとなるため、合意された仕向港または仕向地内の地点をできる限り明確に特定することが賢明です。また、この選択に正確に一致する運送契約を取得することが重要です。売主が運送契約の下で、仕向地における荷卸しに関する費用を負担した場合には、売主は当事者間での別段の合意がなければ、かかる費用を買主から回収する権利を有しません。